UXとは?
UXという用語を知って約10年。UXとは何かについて何度もググっては分かったつもりになり、本を読んでは分かったつもりになり、結局何も分かっていないような気もします。
UXという用語には、実は大きな見落としやすい罠があります。
それは、UXという用語が抽象化されたものであり、概念だということです。
UXと愛
想像してください。あなたには恋人がいます。
恋人はひどく哀しんでいます。
「最近あなたから愛を感じない」と泣いています。
あなたはどうしますか?
愛についてググりますか?愛についての本を読みますか?
多分しないですよね。
「私のどういうところから愛を感じないと思ったの?」
と恋人に質問すると思います。
愛という言葉は概念です。
車道側を歩いてくれる相手に愛を感じる人もいるでしょうし、レストランの奥の席を譲ってくれることを愛と感じる人もいるでしょう。
いやいやそんなのは習慣化された行動なのだから愛なんか感じない、という人もいるでしょう。
つまり愛とは、その人が相手に対して愛おしいと思ったことをひっくるめてそう定義しているのです。
人や国によって定義が違いますし、時代によっても違います。
UXという概念
UXという言葉も概念です。
ユーザーがいて、製品があって、そのユーザーが製品を触ったときの体験をひっくるめてUXとよんでいます。愛と同様に人や国によっても違いますし、時代によっても変わってくるものです。
UXについて調べても、ほとんどの場合概念を概念で説明しているサイトが見つかるだけで、UXを具体的な手法で説明している方は少ないなと感じます(抽象化や概念がよくない、という話ではもちろんありません)。
“愛とはお互い見つめ合うことではなく、ともに同じ方向を見つめることである”
アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ
という言葉は、愛についての何か重要な考察を与えてくれるかもしれません。しかし、なぜ目の前にいる恋人が哀しんでいるのかは分かりません。
“最近デートが同じ場所ばかりで、手を抜かれてると感じるのである”
空想上の恋人
もし恋人からこんな言葉を引き出せれば、問題の半分は解決したようなものです。対処を考えることができます(対処しないという選択肢ももちろんあるでしょう)。こうして様々なことを解決し、長い年月を積み重ねた結果、それらを全てまるっと含めて”愛”と言えるのだと思います。決して最初にあるものではありません。
“愛”という言葉同様にUXは概念だと意識することで、ユーザーリサーチやペルソナ設定、ストーリーボードの重要さなどが理解しやすくなると思います。
ではUXに対して具体的にどう取り組むべきか?という話はまたの機会に。
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